1個できるだけでもその日の気分を下げてしまうニキビ。早い方だと小学2年生くらいから出始め、ホルモンバランスの乱れやストレスなどでニキビが悪化し、重症化するとニキビ痕として残ってしまいますので早めの治療が大切です。重症化したにきびは残念ながら保険診療のみで改善することは困難です。当院では一般皮膚科・美容皮膚科どちらもある特性上、他院の治療で改善しなかったにきびで来院する方がかなり多いです。進行段階や状態によって治療方法が異なり、大まかに下の表のような治療となります。特にイソトレチノイン(アクネトレント)を求めて遠方から来院する方が多くいらっしゃいます。腫れて痛みのあるにきびには当院では圧出やにきび注射(一部保険適応)を積極的に行います。高画質の拡大スコープで患者さんと一緒に肌の状態を確認し、にきびの状態、ベースの肌質、過去の治療歴、ご予算、治療目標にあわせてオーダーメイドのにきび治療を行っています。
他院での保険診療(ベピオ・エピデュオなど)で改善なく当院受診。アクネトレント(イソトレチノイン)3カ月使用。金額・副作用はページの中段以降に記載があります。
段階別にみるニキビ
第1段階:皮脂の増加
思春期前から皮脂は増大し,鼻回りなどTゾーンを中心に30-40代まで多い傾向があり,遺伝や体質は大きく影響します.食生活も影響大で、本格的な筋トレをしている人以外でなんとなく良さそうだからという理由でホエイプロテインを飲んでいるのであれば、まずそれをやめましょう。ホエイプロテインに含まれるIGF-1などが皮脂を大きく増加させます。
第2段階:毛穴の詰まり:毛穴の周りの角質が分厚くなる,毛穴が皮脂で詰まる
毛穴の皮脂や垢などの汚れが角栓となって、毛穴の周囲に角質異常が起こって毛穴が詰まります。
乾燥やマスクの擦れでも剥がれた角質が詰まるため悪化します.
第3段階:白ニキビ・黒ニキビ
毛穴に皮脂が溜まって毛穴が詰まると、白く皮膚表面が盛り上がって白ニキビができます。
また、毛穴から皮脂が吹き出て空気に触れることで酸化すると黒ニキビとなります。
第4段階:赤ニキビ・黄色ニキビ
毛穴にアクネ菌が増殖することで炎症が起こる状態が赤ニキビです。赤ニキビを放置すると、綺麗に治らずニキビ痕になります。
また、ブドウ球菌によって炎症が起こり膿胞ができる状態を黄色ニキビといいます。炎症がさらに悪化して、毛穴や表面が硬く赤紫色や黒紫色に変色した状態が紫ニキビです。触れるだけでも痛い、大きく膨らんだにきびは、にきび注射をするか、当院で細い針で破り圧出(面皰圧出法)を行います。
第5段階:ニキビ痕
皮膚が陥没したり、色素沈着を起こしたりします。
タイプ別にみる治療方法
塗り薬 飲み薬 (保険適応) |
面皰圧出 にきび注射 (保険適応) |
ピーリング エレクトロポレーション (保険外) |
フォト フェイシャル (保険外) |
ピコフラクショナル レーザー (保険外) |
イソトレチノイン 飲み薬 (保険外) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
1.皮脂分泌の増加 | ★ | |||||
2.毛穴の詰まり | 〇 | ★ | 〇 | △ | ★ | |
3. コメド・白ニキビ・黒ニキビ | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | △ | ★ |
4.赤ニキビ・黄色ニキビ |
〇 | ★ | 〇 | 〇 | ★ | |
5.ニキビ痕 | 〇 | 〇 |
◎ 赤み・くすみに |
★ 凸凹に |
△ |
効果 △、〇、◎、★ 右に行くほど効果が高いです
当院にきび治療:イソトレチノイン(アクネトレント)飲み薬
他院での保険診療(ベピオ・エピデュオなど)で改善なく当院受診。アクネトレント(イソトレチノイン)3カ月使用。金額・副作用はページの中段以降に記載があります。
他院での保険診療(ベピオ・エピデュオなど)で改善なく当院受診。アクネトレント(イソトレチノイン)3カ月使用。金額・副作用はページの中段以降に記載があります。
アクネトレント(イソトレチノイン)4カ月使用。金額・副作用はページの中段以降に記載があります。
高額ですが結局コスパがよいと評判です.
現在の日本の保険診療では、できたにきびの赤みを抑える、毛穴の詰まりを抑える程度の治療が精いっぱいです。皮脂がでやすい状態を治さないとまた再発してしまいます。しかし、皮脂の分泌をしっかり抑えるような薬は保険診療では残念ながらありません。 イソトレチノインは、レチノイドに属する薬剤でビタミンAに近い薬です。重症ニキビに有効で、皮脂分泌を強力に抑えることができ、ほかに毛穴詰まりを解消する・抗炎症作用があるなどの効果が期待できます。日本国内では未だ未承認で自費診療ですが、アメリカやイギリスなど多くの国で中等度・重症ニキビの治療に強く推奨されており,40年前から保険適応となっています。皮脂分泌を強力に抑えることができるので、そもそも毛穴がつまりにくくなり、根本からにきびを治すことができます。副作用は起こしにくいですが、定期的な血液検査(自費診療)を施行しながらの内服が推奨されています。当院ではまず1日1回1カプセル10mgまたは20mgの少ない量からの内服から始めます。にきび以外にも毛穴が気になる方や、皮脂分泌が多くて悩んでいる方も飲んでいます。
商品名:アクネトレント・イソトロイン・ロアキュタンなど
イソトレチノイン治療の
対象になる方
- 保険適応のニキビ治療を行ってもなかなか改善しない方,薬が合わなかった方。
- ホルモン治療、スピロノラクトン治療を行っても改善しない方。
- 中等症~重症ニキビの方。肌の脂っぽさがとれない、膿が溜まりやすい、またはぼこぼこした塊状の肌の方。
- 皮脂腺を破壊する治療(アグネス®など)やピーリングを行っても効果実感がなかった方。
※当院では、上記に該当する場合にイソトレチノイン治療をご提案しております。日本国内や海外におけるニキビの治療ガイドラインに則ったエビデンスに基づいたニキビ診療を実施しております。また、ニキビ痕の治療には、フラクショナルレーザー治療をしております。
イソトレチノイン治療をひかえた方が良い方
- 成長期15歳未満の方や成長期で身長が伸びている方、男子は高校3年・女子は中学3年から開始を目安としています。
- イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤、ビタミンAでアレルギーを起こしたことのある方
- テトラサイクリン系の薬剤(ミノマイシン/ミノサイクリン・ビブラマイシン)を内服されている方
- うつ病その他の精神疾患で治療中の方(少ない10mgから開始して様子をみながら増減していきます。)
- 肝機能障害のある方、中性脂肪、コレステロールの高い方
- ビタミンA過剰症の方
- 大豆アレルギーの方(アクネトレントには、大豆油が含まれているため)
イソトレチノイン治療における副作用
- 口唇・鼻・目・口腔・皮膚の乾燥
- 以下はまれな副作用です。鼻粘膜の乾燥・鼻出血、頭痛、眼疾患、疲労、骨・関節・筋肉の圧痛または硬直
- 悪心・嘔吐、肝臓の機能の悪化、頭痛が続く、目のかすみ・視覚障害、うつ病
など。乾燥はほとんどの方が実感しますが,他の発症頻度は稀です。定期的な採血検査(保険外)をしながらの内服が推奨されています。
治療開始後1-2週間は約3割の患者さんに、皮脂の分泌が減り肌環境が大きくかわることで細胞が活性化し、一過性のニキビの増悪(好転反応)が認められます。焦らず内服を継続していくと、約1か月で症状は落ち着きます。
体重40kgの方で1日20~40mg,60kgの方で30~60mg飲むのがよいです.
1か月飲むと多くの方で大きいにきびができなくなり,約6か月飲むと皮脂腺が委縮し,薬をやめた後でもにきび再発がしづらくなります.
料金(税込)
美容初診料 3300円
美容再診料 1100円
アクネトレント10mg 9900円(1か月分),アクネトレント20mg 14300円(1か月分)
アクネトレント採血料金 4400円
初回にアクネトレント20mgを開始すると,美容初診料3300円+アクネトレント20mg 14300円+採血料金4400円で,計22000円かかります.
2か月目からは 美容再診料1100+アクネトレント20mg 14300円+採血料金4400円で19800円となります.
血液検査は異常なければ採血の頻度は減らしていきます.高額ではありますが,保険診療の薬が効果がいまひとつで悩み続けたり,いろいろな化粧品を変えたり,スキンケアや食べ物に気を使ったりと,悩んでいる時間を考えるならコスパがいいと評判です.
日本国内未承認医薬品となります、院長の判断の元、正式なルートで個人輸入手続きを行っています。
・アクネトレントは米国食品医薬品局(FDA)で認可が下りている薬です。重篤な症状として0.1%未満の確率で抑うつ症状、急性膵炎、アナフィラキシーを生じるリスクがあることが分かっています。
・副作用リスクがある背景から、医師の診察・血液検査の定期実施を経て処方を行います。
にきび注射
個人差がありますが、1-2日で大型のにきびも小さくすることができます。
写真のような3mm以上の大型のにきびやにきび痕には
直接にきびに抗炎症成分を入れ込む注射がおすすめです。
成分としてはステロイドになります。にきびの部分のみに注入するため、体全体へ吸収される量はきわめて少ないです。リスクは感染を助長することがあるので、塗り薬・飲み薬を使いながらを推奨しています。ほかに、皮膚が凹むことがあります。施術後2-3時間は写真のような小さいばんそうこうを貼ります。当日から洗顔可能です。注射時は痛みはありますが、30Gという予防接種などに使われる針よりもかなり細い針を使いますので軽減されています。1週間以上たってしまった大型のにきびや固いにきびには2回以上治療が必要になることがあります。施術は月に100個以上のにきびに注射をしている院長のみが行います。非常に小さいにきびや鼻先など皮膚が突っ張っているところにはリスクがあるので基本は打てません。理解のある患者さんのみに施行しています。
月に1回まで保険適応(診察料等込みで約¥2,000~¥3,000程度)
1月に2回以上打つ場合
5個まで ¥4,400
10個まで ¥7,700
20個まで ¥13,200
21個以上 ¥550/1個ずつ加算
☆月に1回までのにきび注射と面皰圧出は保険適応でできます。
☆月に2回目からは、自由診療(保険適応外)となります。翌月になれば保険適応となります。
ピコフラクショナルレーザー
ピコフラクショナルレーザーとは
お薦めの方
- 肌のツヤやハリを取り戻したい方
- 毛穴が開いてきた方
- 肌を若返らせたい方
- クレーター状になったにきび痕でお悩みの方
料金は「料金表」のページをご覧ください。
施術後の注意
- 色素沈着ややけどを防ぐためにも、日焼け止めを徹底して行います。少なくとも3カ月は日焼け止めクリーム(SPF50+、PA+++以上)を使用して紫外線に注意してください。
- 施術後の洗顔やスキンケアは優しく行ってください。
外用療法(塗り薬の治療)
・アゼライン酸
妊娠中・妊活中も使える。ベピオなどが合わなかった方もかぶれにくいクリーム
・イベルメクチンクリーム 2024/10/1PMから取り扱い開始。
にきび痕の赤みや酒さ(赤ら顔)を改善するイベルメクチン1%含有のクリームです。ニキビダニにも効果があります。30g1本:税込¥2970
1日1回スキンケアの最後に赤みのある部分全体に使用し、刺激感等がなければ症状にあわせて1日2回まで使用できます。
・過酸化ベンゾイル ベピオローション®、ベピオゲル®
アダパレン ディフェリンゲル®
過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン デュアック®
過酸化ベンゾイル+アダパレン エピデュオ®
これらを肌の状況にあわせて使用します。
・ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、ニキビや毛穴の汚れ、ざらつき、くすみなどを改善し、お肌のハリやツヤ、美肌効果が期待できます。肌にピーリング剤を塗って、角質層を剥がれやすくします。シミや小ジワ、ニキビも改善が期待できます。患者様のお肌に適したピーリング剤を選んで塗布します。
当院ではミックスピールマヌカハニーと,サリチル酸マクロゴールの2種を用意しております。
抗生物質(抗菌薬)
抗菌効果があるため、赤ニキビの炎症に有効です。白ニキビや黒ニキビ(コメド)の段階では炎症が起こっていないため、あまり効果は実感できません。また、長い期間使うことで耐性菌ができるため、ピンポイントで炎症を起こしているニキビのみに使用します。
オゼノキサシン ゼビアックス®
クリンダマイシン ダラシンゲル®
ナジフロキサシン アクアチムクリーム®
これらを肌の状況にあわせて使用します。
内服療法(飲み薬の治療)
抗生物質(抗菌薬)
赤ニキビのように炎症を起こしているニキビに対して効果が期待できます。抗菌作用が炎症そのものに働きかけます。耐性菌ができることがあるため、使用方法や使用期間について慎重に検討します。
漢方薬
ニキビの炎症を改善する、皮脂分泌を抑える、性周期(ホルモン変動)によるニキビの悪化を防ぐ効果が期待できます。十味敗毒湯、桂枝茯苓丸ヨクイニン、黄連解毒湯、清上防風湯、荊芥連翹湯、補中益気湯などを主に使用します。院長は漢方処方を得意としており、各患者さんに合った保険適応の漢方を処方いたします。
ビタミン剤
皮脂分泌過剰が原因のニキビの方に処方することがあります。ビタミンB2,B6,C群などを内服します。
ニキビに関するよくある質問
にきびが薬でよくなっても再発するのはどうしたらよいですか?
毛穴の詰まりを改善したり、アクネ菌を殺菌・炎症をおさえたりしても、皮脂腺からの皮脂の分泌が多い肌質の方は高い確率で再発してしまいます。皮膚科でピーリングをしたり、ピーリング系の石鹸や塗り薬を使って予防する必要があります。チョコレート、ナッツ類、揚げ物など油分を多く含む食品の摂取は控えましょう。生理前に悪化する方は処方した漢方を飲んでもらうことをおすすめしています。それでも改善が難しい場合や重症のにきびに関しては皮脂分泌を強力におさえることができる飲み薬:イソトレチノイン(アクネトレント)を推奨しています。
イソトレチノインは海外の薬ですが、安全ですか?
当院は正規ルートで輸入しております。アメリカでは40年以上前から保険診療で処方されている歴史の長い飲み薬です。副作用がゼロではありませんが、定期的な血液検査をしながら飲めば、メリットが大きく上回る薬と考えています。当院では2023年8月開院以来、およそ30名以上の患者さんに使用しています。
にきび痕はどうしたらよいですか?
色見が気になる方は美白系のクリーム(トラネキサム酸・ハイドロキノン)を購入し使用していただきます。それでも赤みが残る場合はフォトフェイシャルやピーリング、エレクトロポレーションを肌質に合わせて行います。にきび痕が膨らんでいる場合は、にきび注射(ケナコルト)を使用し、凹んでいる場合はフラクショナルレーザーを月1回ペースで5回以上行います。大型の黒色面皰(黒ニキビ)となっている場合は皮膚専用の治療器:デルマトロンにて詰まりごと摘除します。